COLUMN

連載第38回 知らないと損する「住宅性能評価制度」

2021.12.02

せっかく建てた我が家に長く住むためには、快適で安心できなければなりません。そこで、オススメしたいのが「住宅性能評価」を取得することです。


簡単に言うと、国が実施する住宅に対しての評価制度で、これから家を建てる人が安心して家を購入できるように、建てた後も安心して住み続けられるように、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)に基づいて、2000年4月1日に施行されました。

取得することで安心できるポイントは2つあります。

1つ目は、構造や省エネ性などの「性能」に関する表示の適正化。つまり、住宅の性能を成績表のように等級や数値で見える化することです。国が定めたルールと基準に基づいて性能を評価するので、これから住む自分の家がその性能についてどんなレベルなのかがわかり、安心して住むことができます。



2つ目は、国が定める第三者機関による評価・検査を受けられること。家1棟を建てるには、多くの人が携わるので、住宅会社だけに任せるとどうしても見落としたり、甘く評価したりする部分が出てきます。そこで、第三者が4回に渡り、公平な立場で厳しく評価・検査することで、より安心できます。

住宅性能評価の項目は全部で10項目ありますが、そのうち必須となる①構造②劣化③維持管理④断熱の4項目を取得しましょう。

特に注文住宅を建てる方は、完成品を見ないまま進めることになるので、後悔しないためにも取得するべきです。なぜなら、完成してからでは見えなくなってしまう部分=「性能」こそが快適・安心な暮らしに直結するからです。性能がしっかり担保されていないと、住んでからの光熱費や修繕費といったランニングコストにも大きく影響してきます。



では、住宅性能評価を受けると具体的にどんなメリットがあるのでしょうか?

①住宅ローンの金利優遇を受けられます。②地震保険の割引が適用されます(耐震等級3の建物の場合、なんと50%引き)。③万一家を手放す場合、住宅性能評価書が不動産鑑定書代わりになるので、下取り価格がプラスになり、高く転売することも可能です。

こんなに安心で、おトクな住宅性能評価制度なのに、ほとんど普及していないのには理由があります。

住宅会社に知識や経験が足りない、膨大な資料を不備なく揃えなくてはいけない、申請するのに時間と手間がかかる。つまり、面倒だからです。

しかし、家はお客様にとって一生に一度の買い物です。絶対に失敗したくないし、家族の夢を叶えたいのは当然のこと。そのためにも、根拠のある性能をしっかり担保してあげるのが住宅会社の使命だと私は思うのです。

せめて、住宅性能評価の簡易版である「長期優良住宅」だけでも認定取得をお客様に勧めてほしいと思います。

お客様が長く安心して快適に住めるのはもちろん、家の資産価値を高めるためにも。



text. 木村 大作

毎年200邸、累計3,000邸以上の住まいを取材する住宅ジャーナリスト。2014年、納得住宅工房で自邸を新築。著書に「失敗しない家づくりの法則」がある。浜松市在住

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