COLUMN

連載 第32回 独断と偏見! 間取り・設備のアドバイス ⑥洗面室・トイレ

2021.10.21

洗面室は、家族全員が毎日頻繁に使う場所。なるべく広く、ゆったりとスペースを確保したいものです。
女子率が高い家族だと、使用時間も長いはずなので、洗面ボウルを2つ設けたり、鏡をワイド型にすると混雑時のストレスが軽減されます。

タオルや洗剤、シャンプーのストックなど、収納を多めに確保することも大切です。ぜひ参考にしてほしいのが、家族全員の下着やパジャマを個別に収納できるロッカー。これがあると、お風呂上がりに子どもが裸のままリビングをウロウロすることがなくなり、自分でお着替えする習慣も自然と身につきます。

最近よく見かけるようになりましたが、洗面室と脱衣室を分けるのが望ましいですね。分かれていない場合、誰かが入浴していると中に入れなくなり、歯磨きや手洗いができません。

洗面室は暗い北側に創ることが多いので、高い位置にスリットの窓を設置して、光を取り入れるようにしましょう。洗面室が明るいと、朝からテンションも上がります。
スペースに余裕があれば、アイロン台のコーナーを設けるといいですね。洗う・干す・乾かす・アイロンがけ・しまうが一か所で完結でき、家事の時短につながります。
なお、CMでもおなじみのガス衣類乾燥機「乾太くん」は2件に1件のお宅で採用されています。忙しい共働きご夫婦には欠かせないアイテムになりましたね。

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トイレは住宅設備の中でも優先順位を低く考える方が多いかもしれません。でも、年齢を重ねるほど使用頻度が高くなるので、慎重に考えるべきです。ドアを開けたときに人やペットにぶつからないよう、入口は引き戸がいいですね。将来に備えて、手すりも最初から設置しておきましょう。

トイレは、用を足すための場所であると同時に、密閉された個室でもあります。1人の時間を快適に過ごすために、床や壁、便器までこだわって、ホテルのようにコーディネートしてみるのもいいと思います。
それにしても、ほとんどの住宅が使用頻度の少ない来客用のトイレを豪華に創っているのはなぜでしょう?
そもそも、来客がトイレを使うことは滅多にないような気もします。家族が毎日使う方のトイレこそ高性能に、おしゃれにするべきではないかと、新築して7年住んでみた私の感想です。

トイレは、照明計画も大事です。取材先でトイレも撮影しますが、ほとんどのトイレが天井の真ん中に照明を設置しています。こんなに明るいと夜中にトイレに行ったときに目が冴えて、その後眠れなくなる可能性があります。足元をだけを照らすフットライトが設置してあるトイレをみると、設計士の気配りを感じます。

なお、延床面積にもよると思いますが、2階、平屋に関係なく、トイレは2つあった方がよいと思います。ときどき、予算を削るためにトイレを1つにした施主さんもいますが、後悔したという声がほとんどです。
我が家は2階建てで3人家族ですが、トイレが2つあって良かったと思うことがたびたびあります。









text. 木村 大作

毎年200邸、累計3,000邸以上の住まいを取材する住宅ジャーナリスト。2014年、納得住宅工房で自邸を新築。著書に「失敗しない家づくりの法則」がある。浜松市在住

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