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連載 第28回 独断と偏見! 間取り・設備のアドバイス ③リビング(前編)

2021.09.25
リビングは暮らしの中心となる場所であり、住まいの核となります。いつも家族が自然に集まってきて、今日あった出来事を楽しく語り合うような笑顔の絶えない空間にしたいですね。


おうち時間が増えたいま、いかにリビングを居心地のいい空間にするかは、理想の家創りを考える上でとても重要なポイントになると思います。SNSが浸透したことにも関係があると思いますが、リビングは昔のように家族全員でテレビを観るだけの「お茶の間」ではなく、それぞれが仕事や勉強やゲームをする多目的なスペースになってきたように感じます。ご主人はソファで新聞を読みながら寛いだり、奥さまは畳コーナーでインスタグラムやLINEをしたり、子どもはダイニングテーブルで宿題をしたり。そんな日常のシーンも多いのではないでしょうか。


家族それぞれが個室にこもることなく、リビングに集うようにするためには、「主張しすぎない緩やかな間仕切り」が必要です。たとえば、リビングとダイニングの間にわずかな段差を作ったり、家具や格子塀などで間仕切りしたりして視線をずらす。そうすることで、家族みんなが同じ空間にいながら別のことをしていても気にならず、コミュニケーションも増えます。たとえ土地面積や延床面積が小さくても、設計の力でリビングを広く感じさせることができます。


その一つが、天井の高低差で空間に抑揚をつけること。多くの人が「天井はできるだけ高い方がいい」と思っているようです。確かに、天井が高いと広く感じられますが、玄関からリビング、ダイニング、キッチン、サニタリー、寝室に至るまで、すべての天井が高いと目が慣れてしまって、高いと感じなくなります。


一般的な天井の高さは2,400mmですが、リビングの天井の梁を現しにして2,700mmにするケースが多く見られます。逆に、2,200mmの低い部屋が狭く感じるかと言うと、決してそうではなく、とても落ち着きますよ。


玄関をやや低めに抑え、室内に進むにつれて段々高くなっていくように、建築は高低差があってはじめて開放感を得られるのです。これは、近代建築の三大巨匠の一人、フランク・ロイド・ライトの設計手法でもあります。
リビングとダイニングの天井高を変えたり、吹抜けの代わりに勾配天井を採用したり、最近はリビングの床をダイニングから下げる(ピットラウンジ)ことで、ゾーン分けする家も増えてきました。


また、建具(リビングドア)を床から天井まで届くフルハイドアにすることで、より開放感が生まれます。
短い階段で半地下、1階、1.5階、2階をつなぐ多層階のスキップフロアもお薦めです。視線が対角線上に延びるので、実面積以上の開放感と家族のつながりを感じます。


もう一つの工夫は、境界を曖昧にすること。たとえば、リビングに大開口サッシを採用してウッドデッキとつなぎ、庭の景色も家の一部にしてしまうのです。刻々と変化する太陽の光、雨の音、土の香りを感じることができるだけでなく、床と同じ高さのウッドデッキが続くことで、アウトドアリビングとしてさまざまな過ごし方ができます。次回は、リビングをもっと快適に、居心地のいい空間にするためのワンポイントアドバイスをお伝えします。








text. 木村 大作

毎年200邸、累計3,000邸以上の住まいを取材する住宅ジャーナリスト。2014年、納得住宅工房で自邸を新築。著書に「失敗しない家づくりの法則」がある。浜松市在住

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