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連載 第19回 お金をかける優先順位  ①構造・工法

2021.07.22

住宅の耐久性能や強度の要となる土台や柱は、建物全体を支える重要な部分で、取り替えができません。
高温多湿の日本で、長持ちする家を建てるなら、国産のヒノキやスギといった天然木を使うべきでしょう。
無垢材は伐採してから約200年の間に強度が2〜3割上昇し、その後緩やかに伐採時の強度に戻っていくという性質があります。
世界最古の木造建築である法隆寺が1,300年を経た今もなお美しい姿を保っていられるのは、長い時間をかけて自然乾燥し、強度を増していく無垢のヒノキを使っているからです。

できることなら、あなたが家を建てる地域の山で伐採された木を使って建てて欲しいと思います。なぜなら、木は家になった後も地元の気候風土を覚えていて、その記憶に合わせて湿気を吸ったり吐いたり、本来備わった調湿特性を存分に発揮するからです。
また、木材を地産地消することで地元の自然を守り、子どもたちの未来を守ることにもつながります。


東日本大震災以降、「◯◯工法は強い、◯×工法は弱い」などと、建物の構造や工法による耐震性の違いを比較する記事がメディアで多く見られるようになりました。
地震で建物の倒壊を免れた住宅会社は、ここぞとばかりに「地震に負けない家」というキャッチフレーズで堂々とアピールしています。


専門家の方に聞いたところ、耐震性を追求して、木造・鉄骨造・RC造(鉄筋コンクリート)それぞれの性質を活かした設計・施工をすれば、どんな工法でも同等の耐震性を担保できるそうです。
私たちのイメージだと、木造より鉄骨の方が頑丈で長持ちするような気がしますが、実際はそうではありません。
明らかなのは、地震の揺れの大きさは建物の重さに比例するということ。同じ震度の揺れが発生した場合、軽い建物は揺れが小さく、重い建物は揺れが大きくなります。
ですから、木造よりも鉄骨の方が地震の影響を受けやすいんですね。


主な工法には、柱・梁・筋交いなどの骨組みで建物を支える日本の伝統的な工法である「木造軸組工法(在来工法)」、壁や床などの面で支える北米生まれの2×4工法(枠組壁工法)、木造でありながら鉄骨並みの大開口・大空間を実現するラーメン構造の「SE工法」があります。
それぞれに長所と短所があるので、土地条件、予算、家族のライフスタイルや将来的なリフォームの可能性などを考えて慎重に選びましょう。


家の耐震は、設計士や大工さんの経験値や勘だけに頼ってはいけません。そこでお勧めしたいのが「構造計算」です。構造計算とは、建物が地震や風雪にどれだけ耐えられるかを設計段階で計算して数値化すること。
柱や梁、土台、基礎配筋まで細かく算出して正確な強度を出します。すべての構造部分にかかる力が詳細にわかるので、より安定した家をつくることができます。
 

別途費用がかかりますが、構造計算を行うと、たとえば震度6に耐えるためには耐震金物が何本、生コン量がどれだけ必要かといった数値データが明確に出るので、「根拠のある」地震に強い建物が完成します。
木造住宅(3階建てを除く)には構造計算が義務付けられていませんが、実施しておくと長く安心して暮らすことができます。

text. 木村 大作

毎年200邸、累計3,000邸以上の住まいを取材する住宅ジャーナリスト。2014年、納得住宅工房で自邸を新築。著書に「失敗しない家づくりの法則」がある。浜松市在住

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