COLUMN

連載第37回 家族を守るための防災型住宅を考える

2021.11.24

未曾有の津波被害をもたらした東日本大震災。震度7の揺れが2度も襲い、甚大な被害を及ぼした熊本地震。日本列島、特に私たちが住む静岡県はすでに、いつ大地震が起きても不思議ではない地震活動期に入っていると言われています。



大地震による犠牲者の多くは、建物内での被害が大半で、倒壊しない家に住むことが最も重要な地震対策となります。東日本大震災では、地震の揺れに耐えられず倒壊した家が逃げ道を塞ぎ、津波の被害を拡大させたとも言われています。熊本地震では、繰り返しの地震に耐えることのできなかった家が倒れ、尊い人の命を奪いました。



耐震・制震・免震という言葉を聞いたことがあるかと思います。耐震は、構造を強化することで地震の揺れに耐え、建物の倒壊を防ぐ仕組みですが、どんなに建物を頑丈に創っても損傷する場合があります。


制震は、建物の2階以上に伝わった地震の揺れを制震装置が吸収、低減する仕組みで、建物の損害や家具の転倒を防ぎます。


免震は、地震エネルギーを吸収し、建物に地震の揺れを伝えにくくする仕組みで、建物の損傷がない代わりに、基礎にダメージが生じる場合があります。しかも、一戸建ての場合、価格が400〜500万円と高いのがデメリット。どの工法にも一長一短があるので、住宅会社から説明をよく聞いた上で、納得したものを選びましょう。


これからの暮らしは、電気料金の高騰、地震や台風などによる大規模停電など、電気エネルギーへの不安を抱えています。


以前、私が住む浜松市でも数日間の広域停電がありましたが、かなり不自由な生活を強いられ、いかに私たちの暮らしが普段から電気に頼っているかを思い知らされました。停電しても普段通りに暮らすためには、自宅で電気を創るしかありません。そのために、太陽光発電システムと、電気を貯めるための蓄電池が必要不可欠となります。


私はもともと屋根に穴を開けること自体に不安と疑問を感じていたので、太陽光発電には反対派だったのですが(売電価格も下がりましたし)、暮らしの大半をこれだけ電気に依存していることを実感してからは、考え方を
改めざるを得なくなりました。

 

電気は買う時代から自宅で創る時代へ。


電気自給率100%を目指し、自宅で発電した電力や割安な深夜電力を貯めて光熱費を抑えるだけでなく、停電してもIHクッキングヒーターやエアコンを使えたり、入浴や充電もできたりする蓄電池の需要はこれからますます高まってくるでしょう。



東日本大震災以降、原子力発電所の停止に伴い、日本の一次エネルギー自給率はわずか6%にまで落ち込んでいます。国は2030年までに震災前(約20%)を上回る約25%へ自給率アップを目指しているそうです。


そのためにはまず、家庭で使う年間エネルギー消費量をおおむねゼロにするZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を増やしていく必要があります。



具体的には、建物の断熱性と気密性を高め、エアコンの使用量を減らし、効率的な給湯器やHEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)を活用して、消費するエネルギーを減らします。さらに、太陽光発電で創った電気や蓄電池に貯めた電気を使うことによって、トータルでゼロにします。



高い断熱・気密性能をベースに、太陽光発電+蓄電池を搭載したZEH住宅が令和の家創りのスタンダードになっていくものと思われます。そんな高性能な住まいにワクワクするようなオリジナリティ溢れるデザインを加えることで、永く安心して豊かな暮らしを愉しむことができるのではないでしょうか。




text. 木村 大作

毎年200邸、累計3,000邸以上の住まいを取材する住宅ジャーナリスト。2014年、納得住宅工房で自邸を新築。著書に「失敗しない家づくりの法則」がある。浜松市在住

kimura400.jpg

サイト内検索