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「いい家」って、どんな家?②/失敗しない家創りのルール第5回

2021.08.17

毎年200邸、累計3000邸以上の住まいを取材する住宅ジャーナリスト木村大作氏による家創りに対してのコラム。

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ときどき私は、建築家や工務店の社長さんに「"いい家″ってどんな家だとおもいますか?」と尋ねます。おおむね、みなさんからは同じ答えが返ってきます。「バランスのいい家だね」と。そのバランスとは、デザイン、構造、性能、間取り、サイズ、内装、外構、価格など、様々な要素を含んでいます。

確かに、どんなにかっこいいデザイン住宅でも、夏暑くて、冬寒かったり、光熱費が以上にかかったり、手が届かないほど高額では、とても「いい家」とは言えません。逆に、どんなに快適で、ランニングコストを抑えられていて、建築費が安くても、どこにでもありそうな平凡なデザインでは、すぐに飽きてしまうでしょう。

納得住宅工房で新築した私もそうですが、自分の好きなデザインの家だからこそ、帰ってくるたびにテンションが上がるし、長く大切に住もうと思えるのではないでしょうか。

そう考えると、デザインと住み心地のバランスが取れた家、それこそが「いい家」なのではないでしょうか。もちろん、そのベースとなるのはクオリティの高い設計力と、現場の確かな施工力の両立にあることは言うまでもありません。

また、ある建築家は私にこう言いました。「その家の前に立ったとき、なんだかわからないけど、魂を揺さぶられる。言葉では言い表せないけど、いい家だなぁとしみじみ感じるんですよ」と。

私も取材先で「あぁ、いい家だなぁ」と思う瞬間があります。先日訪ねたお宅は、玄関ホールがL字の広い土間になっていて、思わず懐かしいなぁとつぶやいてしまいました。昔、田舎の親戚の家に行くと、必ずと言っていいほど土間がありました。その遠い記憶が蘇ってきて、心に安心感をもたらしたのかもしれません。

「いい家」と「懐かしい家」は、相通じるものがあるような気もします。

多くのモノ・コトがデジタルに移行されつつある今の世の中は、効率よく、大量に生産されることが美徳とされる風潮があります。スピード重視、それは決して悪いことではありません。

でも、せめて家の中だけは、遅い、もったいない、無駄だと思われてもいい、アナログな時間がゆっくりと流れてほしいものです。コロナ禍を機に、ニューノーマルな働き方が浸透し始めた今だからこそ、なおさらそう思います。

木村大作
毎年200邸、累計3,000邸以上の住まいを取材する住宅ジャーナリスト。2014年、静岡にあるホームビルダー納得住宅工房で自邸を新築。著書に「失敗しない家づくりの法則」がある。浜松市在住。
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