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イタリアデザインのアイデンティティーは人間味といい加減さにあり!?/イタリア目線の家創り第1回

2021.08.11

自然素材とデザインにこだわった家創りをかなえる全国の工務店を紹介するハウジングサイト・納得スタイルホームの代表の星野貴久氏。若かりし頃、単身でイタリアに渡り、デザインやインテリアに携わってきました。その知識を活かしたイタリア目線での家創りなどを解説していくコラムです。

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毎月、私の拙いコラムを掲載して頂くことになりました。どうぞよろしくお願いします。
初回となる今回は、私の自己紹介を兼ねて、16年間住み続けたイタリアのお話をしたいと思います。

イタリアでは、建材、家具、アパレルの仕事に携わり、100社を超えるメーカーと取引をしてきました。訪問したメーカーは200社以上になります。

イタリアに行って最初に感じたことは、なんていい加減な人達なのだろうということです。仕事上では、納期を守らない(1カ月出荷が遅れることもある)、納品書と商品が全く合っていない(意図的に違う商品を発送する)、名刺に書かれている住所に会社が存在しない、などなど、日本ではありえないことだらけ、このいい加減さに精神的に病んでしまう日本人の方もいらっしゃいました。

イタリアに住む日本人に「イタリアのどこが嫌い」を語らせたら、一晩では足りないかもしれません。それでもイタリアに住み続け、イタリアを去っていく方々は「名残惜しい」と口にする。私もイタリアを去る時は非常にさみしい気持ちになりました。

なぜ日本ではありえないことだらけなのにイタリアに魅了されるのか。

それはイタリア人が非常に人間味に溢れ、温かく、豊かに暮らしているからだと思うのです。困っている人を見かけたらおせっかいと思うくらい人々が手をさしのべ、些細なことでも親切にしてもらったら「ありがとう」と声に出してにこやかにお礼をし、見も知らぬ人と笑いながら話ができ、週末の夜遊びに出かける若者も夕食は家族と共にし、ビール1杯で2時間も同僚と語り合い、バスの座席に座るのはお年寄りかご婦人だらけ、赤ちゃんは見知らぬ人に泣きもせず笑みをこぼし、足の悪い隣人のおじいさんは隣のバールに1杯のコーヒーを飲みに行くのに目いっぱいのお洒落をする、そんな人種なのです。
もちろん日本でもこのようなシーンに遭遇するとは思いますが、恐らくまれで、イタリアはそれらが日常なのです。
イタリアに移り住んだ動機の1つは、イタリアンデザインを学びたかったからなのですが、形(フォルム)だけを追求するのは最初の2年でやめました。「デザインを学ぶ」ということは「デザインする人達を知ること」、そして「それらを欲している人達を知ること」である、つまりイタリア人を知ることだ、と彼らとの付き合いを通じて感じたからです。

イタリアの様々な町を訪れ、その美しさ、そこに住む人々の豊かな生活に感動し、そして思索し続けた16年間、「豊かな生活とは」との問いに完全な答えが出たわけではありませんが、私がイタリアから学びとった事が、少しでも皆様の暮らしにや住まい創りに役立てば幸いです。
納得スタイルホーム
代表取締役
星野貴久

イタリアの有名家具ブランド、アルフレックスの椅子張り職人をはじめ、建材メーカー、家具メーカー、アパレルブランドのエージェントとして16年間をイタリアで生活。100社以上のイタリアメーカーを日本上陸させた経験を持つ。工務店の業務を支援し、納得住宅工房の家創りを全国に広める納得スタイルホームに2014年入社。2019年に代表取締役社長に就任する。イタリア建材の伝道師にしてルパンフリークな2児のパパでもある。
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